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2017年06月13日

button_15.jpg  Merck、SID 2017で有機ELディスプレイのためのインクジェット材料を発表

2017年 6月 9日 UBIリサーチ

ドイツMerckは、5月21日に開催されるSID Display Week 2017で、新しいディスプレイ技術と今後のプロジェクトを公開すると明らかにした。

Merckは『The Perfect Pixel – Advanced materials for display and beyond』をテーマに、幅広い製品及びサービスポートフォリオを展示する予定である。

Merckのディスプレイ材料事業部総括責任者であるMichael Heckmeier氏は「我々は、顧客との緊密な関係を通じて、ディスプレイ技術だけでなく、品質、信頼性、サービスを徐々に向上している」と述べた。

また、Michael Heckmeier氏は「継続的に開発を進めながら、先行企業としての位置を強固にするつもりだ。更に環境にやさしく、効率的な生産プロセスを開発することで、最終消費者に一層良質な経験を提供する」と今後の計画を明らかにした。

このためにMerckは「デザインに制限が無いディスプレイ、柔らかいディスプレイ、色再現性・コントラスト比・エネルギーの効率が高いディスプレイの他にも液晶ウィンドウ(Liquid Crystal Window:LCW)モジュールのような革新的製品に焦点を合わせられる」と付け加えた。

Merckは、SIDカンファレンスで、インクジェットプリンティング用溶液材料の開発現況について、発表する予定である。

Merckによると、インクジェット印刷方式で形成した赤色層と緑色層の効率は、真空蒸着技術によるものとほぼ等しいらしい。インクジェット印刷方式は、第8世代以上のマザーガラスでRGBピクセル構造の大型OLEDパネルが製造可能で、材料使用の効率が高く、単純な構造で開発できる。そのため、量産に成功したらコスト削減につながるという利点があり、今後の動きに注目が集まる。

また、Merckは先日のOLED Korea Conferenceで、溶液材料について「赤色は16.4%の発光効率とLT95 2,000hの寿命、緑色は18.7%の発光効率とLT95 8,000hの寿命、青色は7.5%の発光効率とLT95 500hの寿命(1,000cd/m2基準)を持っている。11%以上の発光効率を持つ蛍光青色ドーパントと輝度が20cd/A程度に向上したりん光深赤色(Deep Red)ドーパント、輝度が80cd/A程度まで向上したロールオフ特性を持つりん光緑色ドーパントを開発することが目標だ」と語ったことがある。
2017年06月11日

button_15.jpg  出光、有機EL材を増産 スマホ・TV向け需要拡大

2017/6/10 2:00日本経済新聞 電子版

 有機EL材料で世界大手の出光興産が増産に踏み切る。全体の生産能力を2018年度までの2年間で7割増やす。スマートフォン(スマホ)向け有機ELパネル市場が18年に液晶を上回る見通しなど急拡大する需要に対応する。主力の石油事業が需要減で苦戦する中、利益率が高い有機EL材料を新たな収益源に育てる。

 出光が生産能力を拡大するのは有機ELパネルに欠かせない発光材料。独メルクと世界シェア首位を争っており、両社合計で7〜8割のシェアを握るとされる。出光の有機EL材料事業の売上高は約150億円で価格も安定しており、利益率も高い。

 米アップルが年内に発売予定の新型iPhoneに有機ELパネルを採用するのを機に有機EL市場は急拡大する見通し。英調査会社のIHSテクノロジーによると、スマホ向けの有機ELパネル市場は18年に186億ドル(約2兆円)と液晶(176億ドル)を上回る見込みだ。生産能力拡大を急ぎ、需要を取り込む。

 出光は18年度をメドに日本と韓国の工場をあわせた有機EL材料の生産能力を現状に比べ7割増の年12トンに増やす。韓国の工場では生産設備を増強し、17年度中に6割増の年8トンに増やす。国内では主力の御前崎製造所(静岡県御前崎市)に生産時間を従来の3分の1に短縮できる新手法を18年度中にも導入し、生産能力を2倍の年4トンに拡大する。

 出光は有機EL事業を石油事業に次ぐ第2の収益源に育てる。国内の石油市場は、少子化などの影響でガソリンなどの需要減が続き、価格競争も激しい。事態の打開に向けて、昭和シェル石油との合併を進めているが、33.92%の出光株を持つ創業家が反対を続けており、まだ実現のメドは立っていない。有機ELでは多数の独自特許をもっており、今後パネル各社に売り込みを強化する。

 ▼有機EL 自ら発光する赤緑青の素子を使い映像を表示する。現在主流の液晶に比べて、パネルを薄く軽くできるほか、高精細な映像を表示できるとされる。スマートフォンやテレビなどに使われ、市場の急拡大が見込まれる。

 有機ELの発光材料は様々な化合物を真空下で高温で加熱しながら作るが、装置に残る不純物を取り除くための洗浄時間が長いことが課題。出光興産は特殊な溶剤を使うなどして、大幅に効率化する新手法を開発。最終的には生産時間を従来の3分の1程度まで短縮できる見込みだ。
2017年06月09日

button_15.jpg  CYNORA、有機EL向けの高効率の青色発光材料の性能公開

2017年6月9日 UBIリサーチ

TADF(thermally activated delayed fluorescence)材料の代表的な開発企業のCYNORAは、最近開発された青色発光材料の性能を公開した。CYNORAは今回の成果をもとに、2017年末を目標にしたTADFの製品化に近づいた。

OLEDパネルメーカーにおいて高効率な青色発光材料は、低消費電力と高解像度を実現するために不可欠な材料である。これにより、高効率な青色発光材料への要求は継続的に増加している。

過去のSID 2017でCYNORAはOLEDパネルメーカーが要求するレベルに近い性能の青色発光材料を公開して顧客の注目をひきつけたことがある。当時に公開された青色発光材料はTADF技術が適用され、デバイスレベルで470 nm以下emission peak、90時間以上の寿命(LT97 @ 700 cd / m 2)、15%(@ 1000 cd / m 2)EQEを有している。

CYNORAのCSOであるThomas Baumannは「CYNORAの高効率青色発光材料は、顧客が要求する範囲の性能を持ち、これまで発表された青色発光材料の中で最も優れた結果を示している」とし、「emission peakを460 nmに近接させることが目標である」と今後の研究の方向を言及した。

一方、CYNORAのCMO、Andreas Haldiは「今回の研究成果を通じて、今年末に高効率の青色発光材料を計画通りに販売することができるという確信を得て、TADFのリーディングカンパニーとして位置付けするために、すべての色の発光材料を供給することを目的としている」とし「2017年青色発光材料をはじめと2018年には緑色発光材料を、2019年には赤色発光材料をリリースする予定である」と今後の計画を明らかにした。
2017年06月08日

button_15.jpg  浙江永太科技 有機EL向け設備新設 発光材料用など

2017年06月07日 化学工業日報

 【上海=吉水暁】中国のファインケミカルメーカーである浙江永太科技股份有限公司は、有機エレクトロルミネッセンス(EL)の発光材料などに用いる電子材料の新プラントを建設する。台州市(浙江省)にある同社既存工場に立地するもので、能力は合計で年60トン。投資額は9500万元(約15億円)を見込む。液晶材料向けに培ってきた豊富な知見を生かし、勃興しつつある有機EL市場への対応を急ぐ。
2017年05月25日

button_15.jpg  出光興産プレスリリース:有機EL事業における戦略的提携

2017 年 5 月 24 日

出光興産株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:月岡 隆、以下、当社)とBOE Technology Group Co.,Ltd. (本社:中国北京市、CEO:王 東昇、以下、BOE)は、高性能な有機ELディスプレイ開発のため、有機EL事業における戦略的提携関係の構築に基本合意しました。

当社は有機EL事業において、最先端の発光材料ならびにその周辺材料を継続的に開発し、製造から販売まで行っており、スマートフォンやテレビなどの有機ELディスプレイに多く採用されています。また、材料開発のみにとどまらず、有機EL材料の性能を最大限に発揮するための材料の組合せ技術の開発にも積極的に取り組んでいます。

BOEは世界的に有名なインターネット製品及びサービスの供給メーカーであり、ディスプレイデバイス、スマートシステム及びヘルシーサービスを中核事業としています。業界トップクラスのディスプレイ会社であり、ディスプレイ製品の出荷量は世界最大規模を誇っています。2017年第1Q、BOEのスマートフォン液晶ディスプレイ、タブレットディスプレイ、パソコンディスプレイの出荷量はともに世界第1位で、全てのディスプレイ、液晶テレビディスプレイの出荷量はそれぞれ世界第2位、3位を占めています。それと同時に、有機ELディスプレイにおいても積極的に取り組んでいます。

今回の戦略的提携を通じて、両社は有機ELディスプレイにおいてシナジー効果を発揮していきます。
具体的には、当社はBOEのニーズに基づき、高性能な有機EL材料を開発・提供し、両社の有機EL分野における協力関係を強化し、両社の製品力および市場競争力を向上させていきます。

当社は、今回の取組と同様に、これまで多数のディスプレイメーカーと戦略提携を構築してまいりました。また、有機EL材料メーカーとは、有機EL材料関連分野における特許の相互利用に関する提携契約なども行っております。今後とも主要顧客との関係強化を積極的に推進し、近年目覚ましい拡大を見せる有機EL産業の発展に貢献してまいります。

尚、本件による当社 2017 年度連結業績への影響はありません。

【出光興産 会社概要】
商号 出光興産株式会社
所在地 東京都千代田区丸の内三丁目1番1号
代表者名 代表取締役社長 月岡 隆
設立日 1940年3月20日(創業 1911年6月20日)
資本金 1,086億円
売上高 31,903億円(2016年度)
事業内容 石油精製、石油製品の製造・販売や石油化学製品の製造・販売を行う基盤事業、石油・石炭開発などの資源事業、潤滑油・機能化学品・電子材料などの高機能材料事業をグローバルに展開。

【BOE 会社概要】
商号 京東方科技グループ株式有限公司 BOE Technology Group Co., Ltd.
所在地 中華人民共和国北京市
代表者名 王東昇(Wang Dongsheng)
設立日 1993年4月9日
資本金 RMB 351.5億
売上高 RMB 688.96億 (2016年)
事業内容 中核 事業はディスプレイデバイス、スマートシステム、ヘルシーサービス。ディスプレイデバイスは、 携帯電話、タブレット、ノートパソコン、テレビ、車載、ウェアラブル等の分野に幅広く使用。スマー トシステムは、リテール、交通、金融、教育、芸術、医療等の新たな分野において、IoTを構築し、「ハードウェア製品+ソフトウェアプラットフォーム+ライブアプリ」による総合的なソリューションを提供。ヘルシーサービスは、インターネット通信技術を使用し、情報医学・医学領域でのモビリティマネジメント・再生医学[A2] 等の健康医療分野におけるサービス及びソリューション[A3] を提供
2017年05月21日

button_15.jpg  International TADF Workshop開催

2017年 5月15日 UBIリサーチ

第1世代の蛍光材料技術と第2世代のりん光材料技術に引き続く第3世代の発光材料技術であるTADF(Thermally Activated Delayed Fluorescence、熱活性化遅延蛍光)技術に関するInternational Workshopが2017年7月19日から21日まで九州大学で開催される。

ブラウン管の代わりに現在ディスプレイ市場の注力製品として位置付けているLCDを市場から完全に撤退させるためには、中・低価格帯製品にも導入できる高効率で低コストのOLEDが必要となる。高効率と低コストを同時に解決するためのソリューションがこのTADF材料の実用化にかかっているのだ。

現在製造されている発光材料は、赤色ホスト材料、緑色ホスト材料、青色ホスト材料と各色のドーパント材料で分類される。なお、この材料の中で赤色と緑色は内部効率を100%達成するりん光材料を使用している反面、青色材料は内部効率が25%にしか至らない蛍光材料をまだ使用している。青色材料における効率の限界から、TV用大型OLEDパネルは青色層が2階積層された構造となっており、高い材料費が発生する。

現在のOLED発光材料が持つ限界を克服するために開発されている材料がこのTADFである。

TADF技術を世界で初めて開発に成功した九州大学の安達千波矢教授が会長と務めているInternational TADF Workshopには全世界から第3世代OLED発光材料の開発専門家が集まる。安達教授は九州大学で2012年に初めてTADF論文を発表してから3年後の2015年に全世界に約120編を発表し、2016年には200編以上の論文を次々と発表してきた。この事実はまさにTADFは全世界から熱い視線を注がれていることを示している。



安達教授は、今回TADF Workshopの開催に向けて、TADFの現状と今後の開発方向性と進め方について、各国の専門家と議論を行うためだと趣旨を述べた。
2017年05月16日

button_15.jpg  次世代有機EL材料のTADF、発光メカニズムの謎が解明される

スマートジャパンなど 5/15(月)

TADFを出す分子の発光メカニズムを解明

 産業技術総合研究所(産総研)と九州大学は共同で、次世代型有機EL素子の発光材料として注目される熱活性化遅延蛍光(TADF)を出す分子の発光メカニズムを解明した。発光効率を大幅に高める分子構造の特徴を突き止めたとしており、低コストで高効率な有機ELディスプレイ、照明などの普及に貢献することが期待される。

 有機ELは電流によって発生する有機分子の励起状態からの発光を利用したもので、励起状態には蛍光を放出する一重項状態と、りん光を放出する三重項状態がある*)。発光効率を高めるには、両方の励起状態を発光に変換する必要があるという。

*)一重項状態では2つのスピンが逆向きで、三重項状態では同じ向きにそろっている。有機EL材料が電流により励起されると、25%が一重項状態、75%が三重項状態になるとする。一般的に三重項状態のエネルギーは、一重項状態より低い。それぞれ基底状態に戻る際に発する光を蛍光、りん光と呼ぶ。

 市販されている有機ELディスプレイは一重項状態を三重項状態に変換させ、全ての励起状態の分子からりん光を放出させる材料が採用されている。りん光材量はイリジウムや白金などの希少金属を用いる必要があり、コストが掛かる上に資源的にも不利だ。

 希少金属原子を分子に取り込むための構造も考慮しなければならず、演色性を向上させるための分子設計が制約を受ける。そのため希少金属が不要で分子設計にも制約を受けない、高効率で低コストの有機EL材料の開発が望まれていたという。

■ΔESTとTADFの発光効率に相関

 九州大学はこれまで、熱で三重項状態を一重項状態に逆変換して蛍光を放出するTADF分子を開発。炭素と窒素、水素からなる有機化合物で、100%に近い発光効率を示すTADF分子を2012年に初めて開発した。しかし、2012年の段階では高い発光効率を実現できたのが緑色蛍光のみで、その発光メカニズムの詳細も不明となっていた。

 産総研は電子材料の光機能のメカニズム解明を目指し、研究を行ってきた。励起状態における光吸収を100フェムト秒からミリ秒までの領域で、紫外光から可視光、赤外光までの広い波長領域で測定できる「ポンププローブ過渡吸収分光法」の開発である。


TADF発光の従来考えられてきたメカニズム(左)と、今回明らかになったメカニズム(右)の模式図 出典:産業技術総合研究所

 両者では九州大学が開発した有機分子について、ポンププローブ過渡吸収分光法を用いて発光メカニズムを詳細に解明するため、研究を行ったという。

 研究で用いた8種類の分子について有機ELの発光量を調ると、(1)4CzIPNと(2)2CzPNでは、エネルギー差(ΔEST)が室温での熱エネルギー程度と小さい(1)は発光効率が高く、ΔESTが大きい(2)では発光効率が著しく低い。


8種類の有機分子の化学構造式 出典:産業技術総合研究所

 ΔESTとTADFの発光効率の間に相関が見られたことになる。しかし、CzBNと称する6種類の分子群(3)〜(8)はΔESTがTADFを示すのに困難なほど大きな値を示したが、(3)para-3CzBNと(4)4CzBN、(5)5CzBNはTADFを発光したという。

 これらの結果に基づいてTADFの有無で分子を分類すると、TADFを強く発光する分子群は全てパラ体であり、この分子構造がTADFの発光に関与することを示唆している。パラ体とは異性体のうち、置換基がパラ位に位置した構造の分子のことだ。

■過渡吸収分光法で状態の変化を観測

 九州大学と産総研では、8種類の分子に超短パルスレーザーを照射して励起したのち、その状態の時間変化を過渡吸収分光法により観測した。その結果、TADFを強く発光した分子群にのみ、プラスの電荷であるホールが分子内で自由に移動できる「電荷非局在励起種」が生成。TADFを発光しない、弱く発光する分子群ではホールが自由に移動できない「電荷局在励起種」や「中性励起種」しか観測されなかったという。


過渡吸収分光法によって観測された(1)〜(8)の分子の励起種 出典:産業技術総合研究所

 つまりTADFの発光には、電荷非局在励起種が関係していることを示している。

 過渡吸収スペクトルをさらに考察すると、三重項状態から一重項状態への逆変換は、三重項状態の一種である中性励起種が、一重項状態の励起種とエネルギー的に近いと生じることが分かったとする。この一重項状態と三重項状態の変換と逆変換は、電荷の分布状態が異なる励起種の間でしか起こらない量子力学の法則にのっとっている。

 「つまり逆変換が室温で起こるかどうかは、一重項状態と三重項状態の電荷分布が異なる励起種間のエネルギー差に着目する必要があり、従来のΔESTの値だけを考えてきたTADFの発光メカニズムの再考を促すものである」(両社)

 また、一重項状態のエネルギーを三重項状態の中性励起種のエネルギーに近づけるには、分子にパラ体構造を導入して電荷非局在励起種を形成することが有効という。

 TADF分子の設計では、パラ体構造を導入することが高効率なTADF発光につながる。今回得られた知見に基づいて、さまざまな発光色で高い発光効率と材料の耐久性を兼ね備えた高性能なTADF分子を作製できると考えられる。有機ELデバイスの大幅な低コスト化、有機半導体レーザーなどの次世代光デバイスの実現が期待できるとした。


今回提案したパラ体構造の導入によるTADF発光メカニズムの模式図 出典:産業技術総合研究所

 今後は過渡吸収分光装置の高度化と並行して、より詳細な観察を進め、励起状態の変換が高効率に起こるTADF分子の体系的な設計指針を構築する。TADF分子の設計にフィードバックし、高い発光効率と耐久性を持つ材料開発も支援するとした。なお今回の成果は産総研 ナノ分光計測研究グループ の細貝拓也氏と松崎弘幸氏、九州大学 最先端有機光エレクトロニクス研究センターの中野谷一氏、安達千波矢氏らによるものである。]

http://www.kyushu-u.ac.jp/f/30466/17_05_11_2.pdf
2017年05月15日

button_15.jpg  有機EL発光材料メーカーの競争力比較、韓国材料メーカが躍進

2017年 5月 8日 UBIリサーチ

UBI Researchは、主要発光材料メーカー9社による2016年実績と韓国内で出願又は登録された特許件数、ディスプレイメーカーの量産製品に供給を行っている材料数、2017年営業力予測に基づき、競争力を分析した。(出所:2017 AMOLED発光材料市場レポート、UBI Research)


<主要発光材料メーカーの競争力を分析したグラフ>

この結果、2017年最も高い競争力を有すると予想されるメーカーはDoosanと分析された。Doonsanの競争力強化要因は、営業力向上と量産製品品数の増加、一位の韓国LG Chemicalの次に活発な特許出願活動を行っているからだ。Doonsanは2016年に分析された順位より7段階上昇した。

2位に競争力が高いと評価されるメーカーは韓国Samsung SDI、3位には米国UDCが続いた。韓国Duksan NeoluxはGalaxy S8用フレキシブルOLEDに赤色燐光ホストを採用し、2016年より3段階上昇した4位となった。
2017年05月11日

button_15.jpg  AMOLED用発光材料市場、1,000億円(1兆ウォン)時代へ

2017年 5月 11日 UBIリサーチ

OLEDを採用したGalaxy Sシリーズの成功。米国AppleもiPhoneにフレキシブルOLEDの採用決定。中国スマートフォンメーカーのOLED需要が急増と、OLED市場が活況だ。

MWC 2017において13社がOLEDを採用したスマートフォンを出品した。世界最大のスマートフォン市場である中国で市場拡大している中国のHuawei、Oppo、Vivo, Xiaomi、ZTEなどのメーカーもOLEDスマートフォンの採用に積極的に取り組んでいる。




このような市場状況からOLED用発光材料市場は今年約1,000億円(1兆ウォン)水準に達成すると予想されている。UBI Researchチャン・ヒョンジュン先任研究員は、毎年5~10%の発光材料の価格の下落および発光材料のリサイクル率を5~30%と仮定した場合、発光材料の市場規模は2017年に約1,075億2000万円(9億6,000万米ドル)となり、2021年には約3,763億2000万円(33億6,000万米ドル)まで拡大すると見込んだ。


<発光材料市場見通し>

チャン先任研究員によると、2021年全体OLED発光材料の市場規模と予想される約3,763億2000万円(33億6,000万米ドル)のうち、Apple向けOLED発光材料の市場占有率は約627億2000万円(5億6,000万米ドル)を占める。韓国はOLEDパネル市場をリードしていると共に発光材料市場でも占有率70%まで拡大し、約2,665億6000万円(23億8,000万米ドル)になると見通した。
2017年04月28日

button_15.jpg  スマホ向けの有機ELパネル素材および部品市場が、急成長

2017年 4月 25日 UBIリサーチ

OLED製造に必要な材料および部品には、基板、TFT、OLED、封止、タッチスクリーン、カバーウィンドウ、Drive ICなどがある。韓国Samsung ElectronicsのスマートフォンGalaxyがリードしていたモバイル機器用OLED市場に米国Appleと中国メーカーが参入することで、Samsung Displayを始めとする中国ディスプレイメーカーによる第6世代装置への投資が急増している。

同時にOLED製造に必須な材料および部品の市場も急成長を迎えている。UBI Researchによると、モバイル機器用OLED材料および部品の市場規模は、2017年に87億2,000万米ドルとなり、2021年には382億米ドルまで拡大すると予想される。

国別市場では、韓国の同市場は2017年に82億7,000万米ドルとなり、市場占有率94.9%を占めているが、2021年には中国の市場が22.3%まで増加し、韓国の市場は72.2%まで減少すると予想される。






2017年04月21日

button_15.jpg  Merck主導でのTADF向け蛍光材料開発、Horizo​​n 2020プロジェクトでHyperOLED

2017年4月20日 UBIリサーチ

Merckが去る12日に、EUのHorizo​​n 2020の研究と技術革新プログラムから、4万ユーロの資金を支援を受けるHyperOLEDプロジェクトに着手したと発表した。このプロジェクトのコーディネータの役割を担うMerckはMicrooled(フランス)、Fraunhofer-IOF(ドイツ)、Durham University(英国)とIntelligentsia Consultants(ルクセンブルク)の4つの機関と緊密に協力する。

HyperOLEDプロジェクトは、今後の3年間のディスプレイアプリケーションとダイオードを用いた照明(solid state lighting)に使用される高性能な超蛍光の有機EL(OLED)のための材料とデバイスアーキテクチャを開発する計画である。

HyperOLEDプロジェクトの主な目的は、熱活性化遅延蛍光(TADF)分子向けのホストに、新しく特別に適用されたシールド蛍光エミッタを結合して、革新的な高性能OLEDを開発することで、HyperOLEDプロジェクトは、高成長の可能性を秘めた新興技術の薄い有機大型電子製品(thin organic and large area electronics、TOLAE)の開発にも直接貢献することが期待されている。このプロジェクトは、機能が強化され、パフォーマンスが向上しされ、寿命が延長されて、信頼性のあるTOLAE(Advanced Thin, Organic and Large Area Electronics)対応デバイスを製造するのに役立つ。

コンソーシアムによると、新しいOLEDは、現在の技術に比べて生産が容易な白色OLEDスタックベースであるため、製造コストを削減することができる。また、OLEDスタックの層数を減らし、有機材料の20-40%程度を節約することができ、生産時間と製造装置を減らすことができる。


これは溶剤、誘導体、材料の合成触媒、昇華精製、およびOLED生産のエネルギーの節約を含む全体のバリューチェーン(value chain)全体大幅なコスト削減をもたらすものと期待を集めている。このほかにも、TADF分子ホストと新しいシールド蛍光エミッタの特殊な特性でOLEDの性能が向上していイリジウムと白金のような希土類を使用する必要がなく、環境とコストをさらに削減することができるものと予想される。

http://cordis.europa.eu/project/rcn/205938_en.html

The overall goal of the HyperOLED project is to develop materials and matching device architectures for high-performance, hyperfluorescence organic light emitting diodes (OLEDs) for use in display applications and solid state lighting. The innovative OLEDs will be realised by combining thermally activated delayed fluorescence (TADF) molecular hosts with novel shielded fluorescence emitters, targeting saturated blue emission of very high efficiency, especially at high-brightness levels. Further efficiency gains will be achieved through molecular alignment to enhance light outcoupling from the hyperfluorescence OLEDs. Using shielded emitters will enable simpler device structures to be used, keeping drive voltages low to be compatible with low voltage CMOS back plane electronics. This will enable demonstration of the concept’s feasibility for high-brightness, full-colour OLED microdisplays as one application example.

To develop the hyperfluorescence OLEDs, the following scientific and technical objectives will be targeted:

• Objective 1: Develop shielded emitters
• Objective 2: Develop TADF hosts
• Objective 3: Photo-physically characterise the shielded emitters and TADF hosts
• Objective 4: Anisotropic molecular orientation for enhanced performance
• Objective 5: Design and test prototype hyperfluorescence OLEDs
• Objective 6: Fabricate and evaluate demonstration hyperfluorescence microdisplays

To show the project’s overall goal has been achieved, multiple blue and white stack unit prototypes (2 x 2 mm2 on 30x30mm glass substrates with ITO) will be integrated into a high-brightness microdisplay demonstrator (based on MICROOLED’s 0.38’’ WVGA CMOS backplane) and tested that demonstrate significant improvements in functionality, performance, manufacturability and reliability.
2017年04月12日

button_15.jpg  2017年のモバイル機器向けOLEDパネルの部品素材レポート、急成長するOLED部品・素材市場を分析

2017年4月10日 UBIリサーチ

サムスン電子がギャラクシーに採用して成長した、OLED市場に今年からアップルも加えたことにより、サムスンディスプレイが製造するOLEDパネルの構成する部品や素材市場が急激に成長している。

OLED産業専門の調査会社であるUBIリサーチイの李代表(シニアアナリスト)によると、スマートフォン用OLEDの製造に必要な各種の部品素材市場は、今年87億ドルを形成して2021年には、これより4倍以上大きい380億ドル規模に成長する。


<出展、2017年のモバイル機器向けOLEDパネルの部品素材レポート、2017 Mobile Phone OLED Parts & Materials Report、UBIリサーチ>

スマートフォン向けのOLEDパネル用の部品素材市場が急成長している最大の理由は、信頼性の高いサムスンのギャラクシーの成功とアップルの効果であり、中国のセットメーカーでの需要の急増にも起因している。これを反映するように、サムスンディスプレイに続き、LGディスプレーとBOE、CSOT、Visionoxなど有数のディスプレイメーカーがすべて競って、第6世代のflexible OLEDの製造ラインの導入を急いでいるからである。これらの傾向が続けば、2021年ごろには、スマートフォン市場でLCDはほとんど無くなる。


<出展、2017年のモバイル機器向けOLEDパネルの部品素材レポート、2017 Mobile Phone OLED Parts & Materials Report、UBIリサーチ>

スマートフォン用のOLED部品素材市場を国別に分類してみると、圧倒的に韓国市場が大きい。今年の韓国の部品素材市場は、市場全体の95%を占め、2021年にも72%を維持すると予想している。

OLED産業はサムスンディスプレイが主導しており、韓国の部品素材企業の急成長も期待される。李代表は、サムスンディスプレイのサプライチェーンには、韓国中小企業や韓国に工場を置いた海外企業が大半を占めており、OLED産業の成長は直ちに韓国の中小企業の成長に直結することになるだろうと予想した。

日本では、本レポートは分析工房が販売しています。

2017年04月10日

button_15.jpg  <山形大>有機EL活用 ベンチャー設立

河北新報 4/6(木)

 山形大は3日、有機ELなどの半導体関連材料を開発、販売するベンチャー企業「フラスク」を月内に米沢キャンパスに設立すると発表した。

 資本金500万円の株式会社で、社長には菰田(こもだ)卓哉産学連携教授、最高技術責任者には城戸淳二教授が就任。同大が取得した約100件に上る関連特許を活用し、スマートフォンやテレビ画面のパネルメーカー向けの開発、販売を事業の柱に据える。

 同大によると、有機ELは、米アップルが次世代iPhone(アイフォーン)に採用する見通しになっているなど、市場の拡大が見込まれており、5年後の売り上げ目標は200億円に設定しているという。

 城戸教授は「基礎から応用まで手掛ける技術を生かし、世界を相手に商売できる」と話している。
2017年04月04日

button_15.jpg  山形大が有機ELのベンチャー設立へ 今月、開発や販売へ

2017年04月04日 山形新聞

 山形大は3日、有機ELをはじめとする有機半導体材料の開発、販売などを手掛けるベンチャー企業「フラスク」を今月に設立すると発表した。同大が保有する関連特許を生かし、スマートフォンのディスプレーなど各製造メーカーのニーズに合わせた最先端材料を供給する。

 菰田卓哉産学連携教授が社長、城戸淳二教授が最高技術責任者に就き、米沢市の工学部キャンパス内に事務所を構える。社名は化学実験で使う容器・フラスコにちなんでいる。資本金は500万円。同大は科学技術振興機構(JST)によるプロジェクトの採択を受けるなどし、有機エレクトロニクスの国際研究拠点形成を目指す事業を展開。有機半導体の関連材料を開発し、これまで取得してきた特許は100に上る。

 同社は大学が積み重ねてきた技術をフル活用し、関連メーカーと連携して材料を製造する。販売先は有機ELのディスプレーメーカーや照明パネルメーカーなどとし、その収入と国からの補助金によって事業展開する新たなビジネスモデルを構築する計画。

 3日の定例会見で概要を説明した。5年後に200億円の売り上げを目標に掲げ、菰田教授は「有機半導体の材料に関しては、(メーカーが)購入後にいろいろな調整が必要なのが現状。蓄積してきた特許を生かし、本当に欲する性能に注力して開発を進める」と抱負を述べた
2017年03月22日

button_15.jpg  UDC、有機EL発光材料の寿命と効率が低下しない、有機蒸気ジェット印刷技術などを開発

2017年3月13日 UBIリサーチ

UDCの副社長であるMike Hackは、UBIリサーチが主催した第3回OLED KOREA CONFERENCEのセッションで有機蒸気ジェット印刷(Organic Vapor Jet Printing)技術を紹介した。

Mike Hackは「有機蒸気ジェット印刷(OVJP)技術は、既存のink-jet方式の溶液プロセスとは異なり、蒸着工程で使用されるOLED材料をそのまま使用することができ、マスク(FMM)、溶剤が必要がない」と強調した。

この他にもUDCが開発したNovel BY Display Architectureを紹介した。発表によると、この構造は、一度に2 ピクセルを蒸着できるので、マスクの開口サイズを増加できる。また、Novel BY Display Architectureは、既存のRGB方式の代わりにblueとyellowのサブピクセルを交互に蒸着して、yellow サブピクセルの半分に、redとgreen カラーフィルターを上下対称配列することを特徴とする。

Mike Hackは「この構造により、blueとyellow サブピクセルのfill factorを最大に増加させ、OLEDパネルの色再現率の増加と効率、寿命を最大化した」と述べた。このほか、ピクセルあたり3data未満のラインを利用し、EML蒸着(FMM利用)も2段階のみで構成されて製造コストの削減が可能な利点があることを言及した。

最後に、UDCは、燐光の発光材料とホスト材料を開発し、実用化を目指していることを付け加えて発表を終えた。

一方、UBIリサーチで発刊し、分析工房が販売している「Solution Process OLED Annual Report」によると、インクジェット溶液プロセスに適用される発光材料は、蒸着工程に使用される発光材料を様々な溶媒に混ぜてインク化する方式である。これは、材料の純度が低く、発光効率と寿命が低下させる欠点があった。それでもsolution processはカラーフルターを使用せずに、発光材料の使用効率を向上させることができ、大面積OLEDパネルをGen8以上の装置で分割せずにRGB ピクセル構造で製造することができる利点があり、主要パネルメーカーからの積極的な開発と商用化への競争が活発に行われている。

button_15.jpg  CYNORA、TADF材料の研究開発の目標

2017年3月10日 UBIリサーチ

第3回のOLED KOREA CONFERENCEでCYNORAのAndreas Haldiは高効率な青色TADF発光材料:material in high demandをテーマに、これまでの研究結果と今後の開発の方向を発表した。

Andreas Haldiはdeep-blue TADF発光材料は、スペクトル特性の開発と、ホスト材料とゲスト材料の相互作用についての詳細な分析をしたと述べた。これにより、deep-blue TADF発光材料のEQE(1000nitsを基準)を15%から24%に、寿命(500nits基準)は、300時間から1,000時間のレベルまで向上させた明らかにした。

しかし、deep-blue TADF発光材料をOLEDに適用したときの、材料のquenchingにより効率と寿命が減少する現象を説明した。これらの問題を解決するためにCYNORAはパネルメーカーと共同開発を進めており、携帯電話やTV用のdeep-blue TADF発光材料の量産目標を、2017年12月までとし、CIEyは0.2未満、EQE(1000nits)は、15%以上、 LT97(700nits)は100時間以上に達する計画と付け加えた。

Andreas Haldiは改善されたdeep-blue TADF発光材料を使用する場合、製造コストと消費電力が減少するとともに、解像度が改善されたOLED ディスプレイを製造することができ、主要なパネルメーカーの大規模な真空プロセスラインに適用されることが期待されると述べた。

また、light-blue TADF発光材料については、材料精製技術と、注入層、輸送層、ブロック層の適正なデバイス構造に適用することができるホスト材料とスタック構造を、開発したと語った。

今後の青色発光材料開発の方向については、ELピークを最大に向上して、60nmの半値全幅 と460nmの波長帯を持つdeep-blue TADF発光材料を目指して開発する予定だと発表を終えた。

CYNORAはTADF材料と関連して数年で活発な研究を進めてきた代表的な企業で、OLEDディスプレイの性能改善の最大の問題である青色発光材料の開発に重点を置いている。
2017年03月15日

button_15.jpg  三菱化学、有機EL材料 本格参入−日韓パネルメーカーと交渉開始

日刊工業新聞電子版 3/10(金)

 三菱化学はディスプレー用色材(カラーレジスト)事業で有機エレクトロ・ルミネッセンス(EL)分野へ本格参入する。2017年度内にモバイル向けでバンク材(隔壁材)の採用を目指す。テレビ向けの発光材料も売り込む。現状のテレビ、スマートフォンは液晶が主流だが、中長期的に有機EL比率が高まると予想。液晶部材で培った技術や顧客網を活用して新規分野へ攻勢をかける。

 三菱化学が有機ELディスプレー向けに開発した画素を区切るバンク材は黒色が特徴だ。光の反射防止が主な役割で、現状の透明なバンク材から置き換えを目指す。液晶用カラーレジストの技術を応用した。有機ELパネルの現行製法である「蒸着方式」に対応し、まずモバイル分野での採用を狙う。

 一方、早ければ18年内の採用を目指すテレビ向け発光材料は「低分子」と呼ばれるタイプ。理論上で大型有機ELパネルを低価格に生産できる新製法の「塗布(印刷)方式」向けで、従来課題とされてきた塗布特性を改良した。

 競合する「高分子」の発光材料と比べて、色純度や寿命などの基本性能では有利という。数年前まで定説だった塗布時の不均一性がほぼ解消されており、テレビのような大型有機ELパネル製造で本命視される塗布方式への適用も可能になりつつある。

 現在は日韓を中心に大手パネルメーカーと商談を進めている。足元の有機ELパネル市場は、モバイル向けを韓国サムスン電子、テレビ向けを同LGディスプレーがほぼ独占している。

 特にLGは今後、塗布方式の大型パネル生産への大型投資を計画しており、関連部材の受注競争も激しさを増している。
2017年02月28日

button_15.jpg  石原ケミカル、減益

2017/2/20 日本経済新聞 

【減益】17年3月期はスマートフォン生産減でめっき液が苦戦。開発費用も重荷に。単独決算の前期との単純比較で最終減益。18年3月期は有機EL向け電子材料が伸び増収。製品構成の見直しで最終増益。

【新商品】ナノサイズのフラーレン(球状炭素分子)でねじ用潤滑剤を開発。浸透性が増し緩めやすく。

button_15.jpg  フルヤ金属、白金が不振

2017/2/20 日本経済新聞

【白金が不振】ガラス製造炉に使う白金が低迷。ハードディスク用金属も不振。タッチパネル向けは好調だが補えない。減収。半導体装置に組み込む温度計は採算悪化。営業減益。特損なく純利益は横ばい。

【有機EL】スマホ画面への採用拡大で、原材料となるイリジウムの受注増。18年6月期に本格貢献か。

button_15.jpg  出光興産、合併不透明でも株高のワケ

2017/2/21 日本経済新聞 証券部 押野真也

 石油元売りの中で、出光興産の株価が上昇を続けている。原油価格の底入れを追い風に各社の株価はおおむね上昇基調だが、同社の株価は昨年末比で14.5%上昇。同業のJXホールディングス(6.5%)、東燃ゼネラル石油(6.9%)などの上昇率を大きく上回る。石炭鉱山の権益を持つため、石炭価格上昇の恩恵を受けている面もあるが、より大きいのは材料を手掛ける有機ELの存在だ。有機ELパネルは液晶と比べ薄くて軽く、曲面などの加工がしやすいといわれる。スマートフォン(スマホ)に採用される動きも出ており、米アップルは今年発売するスマホに搭載するとみられている。昭和シェル石油との合併協議は進展していないが、有機ELへの期待はしばらく続きそうだ。

 出光が有機EL材料の開発に乗り出したのは1985年と早く、現在では発光材料の有力メーカーとして知られる。2017年3月期の連結営業損益は1130億円の黒字と、3期ぶりに黒字転換する見通し。このうち、今期の有機ELの営業利益への貢献度は50億円程度と、割合はまだ小さい。ただ、有機EL市場は今後の成長が期待できるとみて、投資拡大に動いている。1月には有機ELパネル材料の開発会社をスイスに新設すると発表。独化学大手BASFが同事業から撤退することに伴い、開発拠点を同社から借り受け、BASFの研究員が新会社に転籍する形で事業を始める。出光からも社員を派遣し、材料の性能改善を進めて競争力を高める。

 石油元売りは原油価格の変動が業績を大きく左右する。出光の場合、指標とするドバイ原油の価格が1バレル当たり1ドルの変動で、営業損益は13億円影響を受ける。15年には原油価格が急落して元売り各社は保有する在庫の評価損失計上に追い込まれた。足元では原油価格の底入れに伴い、在庫の評価損益はプラスに転じているが、原油価格の先行きには不透明感が伴う。原油価格が30ドルを割り込むような急落リスクは以前よりも低くなっているが、各社は原油価格変動の影響をいかに最小限にするかが大きな課題となっている。市場では「出光は有機ELの研究開発投資を継続しており、利益貢献度は今後高まってくる」(国内証券)と評価する見方が増えているようだ。

 ただ、出光株が今後も市場の評価を得られるとは限らない。昭シェルとの合併協議が出光の大株主である創業家の反対で暗礁に乗り上げているからだ。10日には、創業家の代理人として出光の経営側と協議してきた浜田卓二郎弁護士が代理人を辞任したと発表した。水面下では経営陣との対立解消を模索していた中での突然の辞任だっただけに、様々な臆測を呼んでいる。今後の協議が進展するという見方と、さらに関係がこじれるという、相反する見方が市場では飛び交う。

 4月には、ライバルのJXと東燃ゼネラル石油が経営統合してJXTGホールディングスが誕生する。国内で石油製品の需要が減少する中で、ガソリンの市場シェア5割を握るガリバー企業に出光が単独で挑むのは簡単ではない。合併できるのかできないのか、方向性が見えない現状に市場のいら立ちが強まっている。新たに就任した創業家の代理人と経営陣との協議が長期化すれば、市場の失望を招くのは間違いなく、有機ELでたぐり寄せた投資家の期待もしぼみかねない。
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